外国人の採用から就労ビザの取得までの5つのステップ 【人事ご担当者向け】
ステップⅠ 募集したい職種が、就労ビザの対象であるか確認しよう!
日本では、永住者であったり日本人と結婚をしていたりする限られた一部の外国人の方は
どのような職業にでも就くことができます。
一方でそれ以外の外国人の方には就職できる仕事とできない仕事があります。
外国人が就職を希望し企業側が働いてもらいたいと考えて双方が合意したとしても、就労
ビザがおりない職種の場合は外国人を雇用できません。例えば、幼稚園の保母さん(保育
士)や、美容師さんなどの職業は就労ビザの対象ではなく外国人に開放されていません。
したがって、外国人に担当してもらいたいと考えている仕事の職種が、外国人に開放され
ている職種であるか否か、まず確認の必要があります。
ステップⅡ 採用したい外国人を募集しよう!
採用を考えている仕事が外国人に就労ビザがおりる可能性のある職種である場合には、
続いてその募集方法を検討することとなります。
日本人の募集と大きくは変わりませんが、外国人を採用したい企業が採用されている
施策には次のようなものがあります。
外国人の募集手段
①民間の就職・転職情報サイトへの掲載
②大学・短大・専門学校が開催する企業説明会への参加
③自社の採用サイトでの告知
④大学・短大・専門学校の就職課での求人票の掲示・閲覧
⑤合同企業説明会への参加
⑥学校からの推薦
⑦社内人脈の活用
⑧人材紹介会社の活用
⑨外国人雇用サービスセンターの活用
⑩インターンシップの実施
⑪雑誌・新聞等での告知
ステップⅢ 採用したい外国人の“在留資格“と“学歴“を確認しよう!
現在保有している“在留資格“によって今後の展開が変わります
まずそもそも採用したい外国人が海外にいらっしゃり在留資格をお持ちでない場合には、
就労ビザの取得のために在留資格認定証明書交付申請をすることになります。
現在お持ちの在留資格が短期滞在の場合には、日本に居ながらにして就労ビザへの変更を
することはできません。入管法には短期ビザから中長期ビザへの変更許可申請は、「やむ
を得ない特別な事情」がない限り許可しないと規定されているからです。そこで原則とし
ては一度帰国してから就労ビザで入国しなおすこととなります。多くは就労ビザの取得の
ために在留資格認定証明書交付申請をすることとなります。
現在、留学の在留資格をお持ちの場合には、就労ビザの取得のために留学ビザからの在留
資格変更許可申請を行うのが一般的です。ただし学校を卒業後に内定してから実際の就職
までに時間がある場合には、留学ビザから就労ビザへ直接変更するのではなく、内定者の
ための在留資格(特定活動ビザ)にいったん変更する必要があります。
現在すでに就労ビザをお持ちの場合、つまり転職者の採用の場合には、自社で任せる仕事
内容が保有している在留資格で可能な仕事であるか確認をします。現在保有している在留
資格では自社が任せたい仕事をすることができない場合(=資格外となる場合)には、在
留資格変更許可申請をすることとなります。
大卒とそれ以外の方では、就労ビザがもらえる職種が異なる場合があります
在留資格「技術・人文知識・国際業務」のように、就労ビザの条件に学歴が設定されてい
る場合には、大卒なのかそれ以外なのかよく確認をする必要があります。
就労ビザが許可されるためには、学校での専門(専攻)と職務内容が関連している必要が
あるのですが、大卒の場合はその関連性はゆるやかなものでよく、一方専門学校卒の場合
には強く関連している必要があります。
大卒の場合には一般教育課程などで幅広い教育を受けているため、3年生、4年生あるい
は大学院で専攻した分野の周辺の職業にも門戸が開かれているのに対し、専門学校の場合
は専門の教育のみを受けているため、専攻に強く関連した職業のみにつくことができます。
ステップⅣ 外国人と雇用契約を結ぼう!
会社との雇用契約は就労ビザを取得したあとではなく、取得する前に締結します。
就労ビザがおりるか分からない外国人と雇用契約を結ぶのが不安である場合には、就労ビ
ザの取得を雇用契約の効力発生要件とすることで解決します。
ステップⅤ 入国管理局に就労ビザを申請しよう!
入国管理局に就労ビザの申請をします。多くの会社様はビザ専門の行政書士を利用される
こととなるでしょう。
■この記事を書いた人
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:技術・人文知識・国際業務ビザ、興行ビザほか多数。